少しずつ不動の顔が近付いてくる。
ゆっくりと唇を重ね合う。
不動の柔らかい唇が、オレに触れるだけのキスを降らした。

「抵抗・・・しないんだな」

唇を離すと、不動は窺うようにオレを見てきた。

「抵抗する必要が・・・あるのか?」
「俺・・・、勘違いするぞ?」

オレの言葉に、不動は視線を一瞬彷徨わせ、すぐに真っ直ぐ見つめてくる。
少しだけ白い顔に赤みが差しているように見えた。
好き・・・だなんて感情をオレが不動に抱いているかなんて分からない。
まだ、オレの心にはカイザーがいる。
それは紛れもない事実で・・・。
それでも、不動はオレを好きだと言ってくる。
オレは不動の言葉に頷くと、今度は自分から唇を合わせた。

「ん・・・はッ・・・」
「ふぅ・・・は・・・あ」

深く唇を重ねると、不動が舌を絡めてきた。
オレも不動に応えるように舌を動かす。
お互いがお互いを高めあうように舌を絡めあった。

「ふ・・・ん・・・ぅ・・・」

甘い吐息がキスの合間に漏れる。
そんなオレを見て、不動が嬉しそうに目を細めた。
長い間キスを交わし、唇を離す頃にはお互いに息が上がり、心なしか体が火照っていた。

「こっち、きてくれ・・・」

テーブルを挟んでのキスは窮屈極まりない。
不動は、オレから腕を外すと自分の隣を指差した。
オレは大人しく不動に従い、場所を移動する。
何度も、不動はオレにキスをしてくる。
唇だけじゃない。
頬や、こめかみ、瞼にまで、慈しむようなキスをしてくる。

「やっぱり、俺は・・・アンタの事が好きだ・・・。教えてくれ、アンタはどうなんだ・・・」

整った不動の顔が辛そうに歪む。
オレは曖昧に笑うと、不動の言葉を封じるように唇を重ねた。
不動は悔しそうな表情をしながらも甘んじてオレのキスを受ける。
唇から、少しずつ下がり首へと愛撫すると不動はくすぐったそうに肩を竦めた。

「ふぅ・・・あ・・・はぁ・・・」

気持ち良さそうに喘ぐ不動を見て、嬉しく感じる。

「こっちも・・・する・・・か?」

ニヤッと笑って窮屈そうなズボンを指差すと、不動は少し眉をしかめた。

「俺ばかり、気持ち良くなっていたらつまらないだろ・・・。俺も・・・、アンタを気持ち良くさせたい・・・」

手錠に拘束された不自由な手で不動は器用にオレの服を脱がせようとする。
気付くと、オレは足首にズボンを絡ませただけの恥ずかしい恰好をしていた。
不動は満足気に笑い、オレの胸元へと体を屈ませた。
次の瞬間には、ねっとりとした舌が胸の突起を包んでいた。

「んッ・・・は・・・ぁ」

赤ん坊が乳を吸うように舌を動かす不動。
溶けるような刺激が体を震わせる。
むず痒く、そして甘い刺激に頭を振る。
オレは震える指先で不動の頭を押さえた。

「ぁ・・・イヤ・・・」
「やめて・・・いいのか」

オレの言葉に不動が顔を上げた。
意地悪くつり上げられた唇が妙に赤く見えた。
オレが不動の問い掛けに何も答えられずにいると、再度、熱い舌がオレを刺激し始めた。
乳輪をなぞるように舌が動く。
その感覚にオレは何も言えず、体を震わせた。

「あぁ・・・ぅ・・・」

何も出ないのに熱心に吸われ、乳首が赤く勃ち上がる。

「やぁ・・・っ・・・は・・・」

赤みを帯びてきた乳房を不動の手錠で拘束された両手が揺するように撫でた。
冷たい鎖が当たる感触が気持ち良い。
手足が大きく震えた。
快感の波が脊椎を上り、脳を揺さぶる。


もうダメだ・・・無理・・・。
これ以上やったら胸だけで・・・。


オレは床の上に体を投げ出し、大きく息を吐いた。

「気持ち、良かったか・・・?」

オレの頬を撫でながら不動が満足気に微笑む。
頭の中が熱くてたまらない。
どうしようもない熱がオレを支配する。
そんなオレを見て不動は何を思ったのか、屈んだ姿勢をもっと低くした。
快感に蕩けたオレは、不動の行動を不思議に思いながらもただ見ているだけで、指の一本も動かせずにいた。
不動の舌が、オレの太腿を辿る。
何度か太腿を往復し、やがて茂みに覆われた秘所に舌が辿りついた。
ゆっくりと舌が体の中に入り込む。
思った以上の刺激が電気のように体を駆け巡った。

「やめ・・・!そこまで・・・ッ」

そこまで、オレは許した訳じゃない!
慌ててそう言おうと口を開くが、途中で高く濡れた声に変わった。
快楽に慣れた体が、不動に対する抵抗を許さない。
体の奥底を暴かれるような感覚。
舐められ、吸われ、蹂躙される。

「んん・・・ぅ・・・」

体の芯が溶けて行く。
ゆっくりと不動の舌が出し入れされる。
唾液が体の奥に入っていき、淫猥な音が響き始めた。

「もう・・・挿れてもいいか?」

不動が何か言っている・・・。
ぼんやりとした視界の中、不動が起き上がった。

「俺の膝の上に来てくれないか・・・?」

快感に溶かされた頭は何を言われているのか意味も分からず、オレは不動の言葉に従った。
不動が床に座る。
オレは言われるがまま、素直に不動の膝の上に座った。

「そうじゃない、ほら膝立ちして・・・」

不動は苦笑しながら、オレに膝立ちするように言った。
さっきまで不動に弄られ、唾液が濡れそぼった場所に熱いモノがあてがわれる。

「あ・・・はぁ・・・あぁ・・・痛・・・ッ」
「ほら・・・腰をゆっくり下ろして・・・」

体の中に何かが入ってくる感触。
こじ開けられる痛みと焼け付くような熱さが胎内を犯していく。
体が歓喜に震えた。
不動は腕をオレの首に絡み付かせ、唇を重ねてくる。
耳元で聞こえてくる金属音さえも、体を熱くさせた。
奥まで一度沈めると不動が腰を使い始めた。
オレもそれに合わせて腰を揺らす。

「アンタの中・・・すごく熱くて・・・絡み付いてくる・・・っ。気持ち良い・・・」
「んぅっ・・・あ・・・ッ・・・」

体が大きく揺さ振られる。
耳たぶをくすぐる不動の声と共に、湿った音が結合部分から聞こえてきた。

「やッあぁ・・・!」

浅く、入口付近で抽挿を繰り返し、弱い快感にじれったさを感じていると突然、抉るように不動の腰が動いた。

「ひゃ・・・ああっ!」
「アンタも・・・気持ち良い・・・か?」

首筋を思いっきり噛まれる。
その痛みさえも鋭い快感に変わっていく。
体が痙攣するように震えた。
頭の中さえ快楽に侵され、何も考えられない。
不動が呻き、動きが止まった。

「あぁッく・・・っはぁ・・・」
「やぁああッ・・・・ああ・・・!」

悲鳴じみた嬌声が口から零れる。
手足が大きく震えた。
同時にオレの中にいる不動のモノが大きく震え、弾ける。
体の中に注がれる不動の熱。
痛い程に熱い飛沫がオレを渦に巻き込む。
ゆっくりと体が後ろに倒れ込んでいく。
そのままオレは意識を手放した。